prevention and rehabilitation
予防と摂食嚥下

お子さまの予防ケア

赤ちゃんは多くの場合、離乳食が始まる頃に大人からむし歯菌に感染してしまいます。赤ちゃんをむし歯から守るために、大人とは食器やお箸を分け、歯が生え始めた生後6カ月頃から歯科医院でのケアを始めていきましょう。

当院のスタッフはお子さまの診療に慣れておりますので、安心しておまかせください。保護者の方のお悩みにも寄り添い、お子さまが「むし歯知らず」のお口で成長できるようにお手伝いいたします。

子どものむし歯の特徴

乳歯は永久歯よりも歯質が柔らかく、表面に小さな穴がたくさん開いています。そのためむし歯になりやすく、1度むし歯になるとあっという間に進行してしまいます。

また、乳歯のむし歯は次に生えてくる永久歯にも悪影響を及ぼす可能性があります。「生え変わるから大丈夫」というわけではありません。当院では、乳歯のうちからむし歯予防と早期治療に取り組み、生涯にわたり健康でいられるお口づくりをしていきます。

お子さまの予防方法

▶フッ素(フッ化物)について

フッ素には、むし歯菌のはたらきを弱める、溶けだしたエナメル質を修復する(再石灰化)、歯質を強くする、といったはたらきがあり、むし歯予防にとても効果的です。

当院では高濃度のフッ素を塗布することで、お子さまの歯をむし歯から守ります。フッ素は多くの食品にも含まれる栄養素で安全性も確かめられています。

▶シーラントについて

生え始めの永久歯は歯質が柔らかく、磨きにくい奥歯はとくにむし歯に注意が必要です。

そこで、奥歯の永久歯が生えてきたらすぐに溝を歯科用樹脂で埋める「シーラント」とよばれる予防法を行っています。シーラントがむし歯菌の侵入を防ぎ、永久歯がしっかり硬くなるまで守ることができます。

大人の予防

お口と全身の健康の関係

お口は全身につながりを持つ、「健康の要」ともいえる器官です。むし歯や歯周病の原因である細菌は、誤嚥により肺に入れば肺炎を引き起こすことがあります。

また、歯周病菌は傷ついた歯ぐきから血管に入り込み、全身をめぐって悪影響を及ぼすかもしれません。事実、歯周病は脳梗塞、心筋梗塞、糖尿病、認知症、早産など、命に関わる全身疾患にも大きく関わっていることが研究でわかってきました。つまり、むし歯や歯周病の予防に取り組むことは、決して大げさではなく「命を守ること」にもつながるのです。

クリーニングで予防しましょう

むし歯と歯周病の原因は、歯垢や歯石に含まれる細菌です。しかし、ご自宅でのケアだけでは、歯垢や歯石を完全に除去できません。

歯磨きだけでは4割程度の磨き残しがあり、フロスや歯間ブラシを使っても1割程度は歯垢が残ってしまうといわれています。磨き残した歯垢はやがてカチカチに固まり、歯科医院でしか除去できない歯石になってしまいます。そのため3カ月~半年に1度は歯科医院でプロのクリーニングを受け、歯垢・歯石を溜めないようにしましょう。

摂食嚥下について

摂食嚥下とは?

摂食嚥下(せっしょくえんげ)とは、食べ物を認識し、口の中に入れて咀嚼し、飲み込むまでの動作のことです。

この動作の過程で支障をきたすことを摂食嚥下障害といい、「食事中にむせる」「喉に食べ物が残る」「食べ物を飲み込めない」といった症状があります。 脳血管障害などの疾患や加齢、歯の欠損など、さまざまな原因が考えられますが、トレーニングや歯科治療により症状の改善が期待できます。

当院では摂食嚥下の診療に力を入れていますので、お気軽にご相談ください。

摂食嚥下障害が原因で起こる
「誤嚥性肺炎」

摂食嚥下障害があると、食べ物や唾液が誤って気管に入りやすくなります。その際に、一緒に入り込んだ細菌によって肺が炎症を起こしてしまうと「誤嚥性肺炎」になります。誤嚥性肺炎の原因となる細菌には、肺炎球菌や口腔内常在菌(おもに歯周病菌)が検出されています。

日本では年間4万人近くの方が誤嚥性肺炎で亡くなっており、積極的に予防していくことが大切です。

オーラルフレイル

  • 食事中によくむせる
  • 食べこぼしが多くなる
  • 硬い食べ物が噛めなくなる
  • 口の中が乾く
  • はっきりと発音しづらくなる

加齢により心身が衰えたり、社会とのつながりが薄れたりして、活力を失ってしまうことを「フレイル」といいます。

フレイルは、食事や会話に支障が出てくる「オーラルフレイル」からおもに始まるといわれているため、当院ではこのオーラルフレイルの予防を重視しています。 食事中にむせる、よく食べこぼす、滑舌が悪くなったなどの異変を感じたら、早めにご相談ください。通院が難しい方には、訪問歯科診療も行っています。

摂食嚥下リハビリテーション

摂食嚥下リハビリテーションには、間接訓練と直接訓練があります。 間接訓練は食べ物を使わずに行う方法で、顎や舌の運動、マッサージなどによって摂食嚥下がスムーズに行えるよう訓練していきます。

直接訓練は、食べ物を使ったトレーニングです。誤嚥や窒息に十分に注意しながら、水分やゼリーなどを飲み込む練習から始め、徐々に通常の食事をめざします。

当院のリハビリテーション

▶口腔内の環境・機能を整える

まずはお口の中の衛生状態を整え、むし歯菌や歯周病菌などの口腔内細菌を減らします。 それから必要に応じてかみ合わせを整えたり、入れ歯の調整や製作などを行ったりと、しっかり噛める状態にします。

▶間接訓練

食べ物を使わずに行う訓練です。舌や顎、お口周りの筋肉の運動、凍らせた綿棒などを使って嚥下反射を誘発させる「アイスマッサージ」などを行います。

▶直接訓練

食べ物を使って行う訓練です。水分と固形物を交互に飲み込む「交互嚥下法」や、一口につき何度か飲み込む「複数回嚥下法」などを行い、口や喉に食べ物が残るのを防ぎます。

障がいをお持ちの方へ

心身に障がいをお持ちの方の診療も行っております。お一人お一人のお身体の状態や生活背景を考慮して、お口の健康づくりをご提案します。

院内は車いすの方もそのまま移動ができるバリアフリー設計となっており、スタッフも臨機応変に対応させていただきます。治療中の付き添いや治療後のホームケアなど、ご家族の方からのご相談も承ります。